伝えるお仕事、ときどきインドネシア語

伝えるお仕事として、広報企画・制作・集計を出版社での経験をもとに手掛けている岡山市在住41歳。就労移行支援事業所で、特に精神障がいをお持ちの方の就職活動と伝える力をつける支援、企業へ障がい者雇用の橋渡しに携わる。大学時代にインドネシア・バリに1年間滞在、ときどきインドネシア語のお手伝いも。ヒトの成長・変化の観察レポートもときどき。

無難な言葉をさがす。すごくやる気があってできる人だと思われないように!?

就労移行支援の仕事のなかで、利用者が作成する履歴書の志望動機欄の添削、企業への実習申し込み時の動機や意思確認など、企業へアプローチやチャレンジするときの想いを確認する機会がある。

 

おどろくほどまじめに考えてくれていることがあり、びっくりすることがある。まれに、え?軽いなー!!!ということもある。

 

1)得意・できると宣言しない!

●●が得意、●●ができる、●●に向いている

など、すでにそのスキルがある表現は避けるために必死。

こちらが大したことないことなのに!?と思っても、それは通用しない。わざわざチェックされないし、あまりに控えめに書いたらインパクトがないし。

 

しかし本人にとっては、企業にできると思われて急に任されると至難の困難。事前にそのリスクを避けようと必死なのだ。

 

 

2)興味・意欲を示さない!

●●に興味がある、●●に積極的に取り組みます

など、はっきりした興味・意欲を示すことも避けます。

 

その企業の仕事に何も興味が持てない・想いがないのかなあ?と不審に思う。

 

そうではなくて、これも興味・意欲を明示すると、それだけを任されてしまう、それが特にできるのだと思われてしまうのを恐れて、避けている。

必死で無難な表現を探して、働きたい・採用されたい意志は示そうとするから難しい…

 

 

3)エンドユーザーへの想いはない

自分ががんばる・仕事を覚えることに必死!

その企業のお客様・商品・エンドユーザーに対する思いまでは表出しません。

一言くらい思ってほしいんだけど、それよりも何よりも自分が失敗しないか、間違ってると指摘されないか、緊張せずにできるか…そんな自分のことで精一杯。

 

 

なので、

何をしている企業へいくの?

その企業のことを友達になんて説明するの?

って質問して、概要をお話ししてもらい、やっと気づいてもらうことも。

 

モー、頼みますよー!!と言いたいところだけれど、

不安や緊張でいっぱいの人は、そんな状態になっちゃうんだなということも納得。

 

 

無難な言葉、あなたも選んでいませんか?

 

 

 

 

スキルや資格じゃなくて、まっすぐに好きな気持ちがいい仕事になる。

 

就労移行支援のお仕事で、利用者(福祉サービスを利用して就職活動をしている、障がいをお持ちの方)と一緒に職場見学に行った。

求人に応募の前段階、求人有無にかかわらず仕事って何か?を知る段階として、弁当店にお邪魔して、調理場・売り場を見ながらお店の方の話をうかがった。

 

だいたいどこに見学に行っても、慣れた見学先はないので、相手が「どんな人たちが来るのだろう?障がい者ってどんな障害の人が来るのだろう?」と構えていることが一般的だ。それは仕方ないことだし、電話やメールでお伝えしたところで、病名・疾患名・症状を知らせたところで正確に把握できるものでもない。

申し訳ないけれど事前に個人情報をさらしすぎることもできないので、ざっくりとお知らせして、聞かれたことには答えて、のぞむようにしている。

 

今日お会いした方は、店の想いをたっぷり話してくれた。おかず一つ一つに込められた思い、店のレイアウト、売り場の陳列などすべてがお客様に楽しく選んでお買物をして、食事を楽しんでいただけることを考えて成り立っていた。ここまでストレートに語られると、唐揚げ、煮魚、白和え、おにぎり、彩のパセリもすべて愛おしく思えてしまう。手作りの良さって、こういうことだなって実感できる。

 

職場の人たちも感じがよく、作業しながらちらちらと見せてくださり、自然な感じでご対応くださったのがとても心地よく、日頃からいい雰囲気なんだなあということが伝わってきた。仕事って、仕事内容そのものだけでなく、一緒に働く仲間にも左右されるから、その場の人が作る雰囲気ってとっても重要、要チェックポイントだ。

 

調理の仕事とはいえ、ここではスキルや資格は特に必要ないという。お客様がおいしい!と喜んでくれることがすべて。自分がおいしいと思うものを一方的に提供するだけではない。だから、料理が好きだ!、きれいに盛り付けることを極めたい!、おいしいものを作る・食べるのが趣味だ!というまっすぐに好きな気持ちの人が、いい仕事をするという。気持ちって大事何だと再確認した。

 

資格があるけどいかせるか不明、●●しかできません、週20時間も働けるか心配…働くにはいろいろな心配・不安がつきもの。条件よりも、やっぱり気持ちファーストだ。気持ちからスタートだ。

 

高校生だった方に数年ぶりに再会、変貌ぶりにびっくりうれしかったこと。

初めてお会いしたのは、彼女が高校生の時でかれこれ4年前だったと思う。

この度リレーマラソン参加をきっかけに再会した女性がいる。

 

当時はおとなしく、高校生どうしでしか話をしていなかった。

「おとな」である私にはあまり話さなかったと思う。

話したい雰囲気は察していた。

 

多くの高校生年代の人たちは、結局同世代の人たちでまとまってしまい、年の離れた人や異質な人になかなか近寄ろうとしない。

通じなかったら怖い、避けられたら嫌、不慣れな雰囲気が面倒くさい、心地よい同世代だけがいい、わざわざ別の人と関わるのは億劫…とか人への関わりの無関心度合がかなり高いケースが多い。

 

この度、社会人になった彼女は、

気さくに誰とでも話し、

積極的に大人たちにも声をかけて溶け込んでいき、

楽しそうに過ごしていた。

仕事ではなく、楽しい活動のグループ内だからよりリラックスしてできている様子だった。

ああ、よかった!と思えた。

 

そして、私にも積極的に話しかけてくれて、

以前一緒だったこともあることからより親しみを持って接してくれた。

むしろ私の方が嬉しかった。

そんな素敵な気遣い・心遣いが数年の間に格段にできるようになっていた変貌ぶりに、びっくりうれしかった。

 

就労移行支援って、なんだ!?(その1)

就労移行支援って、なんだ!?

私の本業(現在の収入のメイン)について、業種名だけお伝えしてもなかなか理解してもらえないし、身近に感じるものじゃないとよくわからないらしい。

何度かお話ししても、きょとんとしている人も多いし。

障がい者に関わる仕事というだけで、なんだか尊いことをしているという程度で終わる人もいるし…。

知らない人に知ってもらうつもりで、少しずつ解説してみようと思う。

 

 

1)障がいをお持ちの方の就職活動の支援

一言目に言うこと。

まず対象者について、

障がいをお持ちの方がメイン対象。

なかには障がい者手帳を持っていない方も、条件によって利用できる。

精神に関わる通院をしており、「自立支援医療」の受給者はおおむね該当する。

その他の条件もあるので、市町村の福祉窓口に問合せれば確実だ。

 

就労移行支援は「障害福祉サービス」の一つで、「訓練等給付」に該当し、

定められた期間(原則2年)において、就労に必要な知識・能力の向上に必要な訓練等を提供する。

障害福祉サービス受給」の条件にパスする人が使えるということになる。

 

 

訓練として、福祉サービスとしてやっている。

就職に関して、生活面から企業へのアプローチについて支援している。

 

 

2)就職あっせん所ではない!

仕事を紹介してもらえる場所と勘違いする方も多い。

これは間違いだ。

 

本人の希望に応じて、仕事を探す支援をするので、本人の意思や希望がない限り進まないと思ってほしい。

行けば何かしてもらえる、待っていれば機会をもらえるということはない。

 

 

3)A型事業所・B型事業所とは違うの?

障害福祉サービス」で、「訓練等給付」に該当していることは同じだけれど、この二つは「就労継続支援」に該当する。

こちらは期間の定めはなく、

就労の機会の提供と知識・能力の向上に必要な訓練等を提供している。

 

支援者がついて、仕事のための訓練としてやっている。

こちらで経験を積んだ方が、就労移行支援を利用しに来ることは多い。

 

 

4)どんなところに就職していくの?

これは本人の希望しだい。

一般就労を目指す人がほとんど、その想定で支援しています。

 

一般というのは、一般企業の求人もあれば、

一般企業の障がい者雇用枠、特例子会社での求人の場合もあります。

企業によっては障がい者雇用経験の有無はまちまちなので、

受け入れに関して実習のお願いをしてお試し期間を設けていただいたり、本人・企業がよい関係を築けるように仲介役をしたり、本人への職場でのコミュニケーションの取り方・仕事に慣れるために「ジョブコーチ」という人を使ってフォローしたり、本人が活躍できて企業側の負担が軽減できるように私たちがお手伝いをします。

 

多くの企業は、障がい者についてどう扱っていいかわからず、それだけで難色を示されます。わからない=怖い=無理だと思う、ある程度は仕方ないなと思います。

その仲介をして、障がいに関わらず、働くことで社会参加して、一人でも多くの人が活躍できる機会を得られるように支援しています。

 

 

 

来日1週間以内のインドネシア人留学生の質問、冷や汗モノだったこと。

来日して間もないインドネシア人留学生たちにお会いする機会がありました。高校を卒業して間もない、18歳の方たち。希望に満ち溢れて、こちらまで自然とワクワクしてきます。

 

はじめての日本、あれ?って思うことがたくさんあるみたい。そりゃあたくさん気になることがあるでしょう。ドキッとした質問がいくつかありました。

 

1)傘をさして自転車に乗ってもいいのか?

ちょうど交通安全講習で、ダメだと警察が繰り返し説明しました。

とはいえ、雨の日、すでにたくさんの傘さし自転車日本人をみて、いいのかと思っていたようです。そりゃ、たくさんいるんだから、勘違いしますよね。

危ないのでNGです。

 

 

2)ヘッドフォンを付けて自転車に乗るのは、ダメなの?

これも交通安全講習の中での質問。

たくさんの日本人がイヤフォン、ヘッドフォンを付けて自転車に乗っているのを見たから、アレ?と思ったのでしょう。

音楽に集中してしまうと、周りを見る注意力に欠けてしまうからNGです。

 

 

3)在留カードをもっていないと、警察に捕まるの?

日本に在留する外国人は、不法滞在でないことを証明するために、在留カード提示を求められたら、すぐ提示できないといけないというルールがあります。

なので、常に持ち歩きましょうということ。

悪いことをしているわけじゃないのに、いやな感じですよね。

わたしがインドネシアに滞在している時は、特にそんなものはありませんでした。登録しておくことはいくつかあったけれど、証明書所持までは求められませんでした。

それだけ、外国人に対して厳しい日本なんだなと改めて実感。

 

ふだん気にしないことを、あらためて知り、冷や汗モノでした。

 

 

 

 

17歳の時に憧れた女性、「伝えるお仕事」の原点になっていた。

17歳、高2の時に読んだ本がきっかけだったことを急に懐かしく思い出した。

『女たちのアジア』(岩波書店)、松井やよりさんというジャーナリストの1冊。

 

新聞社出身の松井さん、日本が経済成長を遂げる70-80年代、同時期のアジアの女性の凄惨な状況を書いていた。眼をそむけたくなるようなつらい事実、実は日本の影響が強いということ。日本人として知ってほしい、女性としての尊厳は平等でありたいと感じた。それで何ができるだろうか?と17歳の私は必死に考えていた。

 

17歳の私、高校生活がつまらなくて、早く社会に出るか、進学して次のステージに進みたくて仕方なかった。毎日単調な学校生活、学校自体もあまり好きになれず、友達も少なく、市立図書館で本を見つけて読むことが楽しみの一つだった。社会のことをもっと知りたい、漠然と社会学、女性の権利、アジア、発展途上国に興味を持っていた。背表紙を見て、おもしろそうなものをめくっては、あれこれ思案する。そういう時間が好きだった。

 

松井さんは当時の私には大きなインパクトを与えた。書いて伝えることで、こんなに人の気持ちを揺るがせることができるんだなと。本=小説・物語だけじゃなくて、事実を伝えるドキュメントというジャンルも素晴らしいと感激した。いつしか憧れの的になっていた。

 

著書の中でアジア、各国の女性の様子を伝えていた。日本では、雇用機会均等法が施行されて不平等・理不尽なことが指摘されるようになっていたが、それとは次元の違う、尊厳にかかわることが複数あった。衝撃だった。もっとアジアのことを知りたいと素直に思った。現場を直視することは怖いだろう、でも日本とは違う景色の国々へいつか訪ねてみたいと思った。

 

それから大学進学し、いくつかの学問の入門編をかじって、文化人類学でフィールドをインドネシア・バリに決めた。そもそもの文化の違い、社会とは?を様々な観点から思考する文化人類学は、異文化・自文化ともに知ることができ、すっかり魅了されたから。インドネシア・バリにしたのは、アジアに関わる文献を読むうちに興味を持った論文がきっかけだった。それがきっかけで、24歳の時、1年間バリでフィールドワークの練習(博士課程の本番に備える)の想定で滞在した。思いはかなり実現した。

 

その後、様々な形態で、「伝えるお仕事」に携わった。私自身の想いを世に出すのではなく、事実を集約する、分析レポート、ある人の意見など、他の人のことを整理してカタチにしてきた。書くことが苦手な人は多く、代行するととても喜ばれることを知った。代行するにも、ある程度は知識・想いを共有して信念がないと、依頼者にその甘さはすぐ見抜かれてしまう。伝えたいことが伝わるって、とっても嬉しい、一緒に喜べてるのは幸せだ。

 

これまでは出版社、特定のメディアの記者として携わってきた。いまは本業(ここでは収入のメインという意味)がそもそも異なっているけれど、個人事業として「伝えるお仕事」をしたい。17歳の時に憧れた女性、松井やよりさんを原点に、わたしなりに書きたい。じゃ、何を書くの!?が出てくるよう、徐々に自分に詰め寄っていきます。しばらく怠っていた課題に向き合います。

 

やりたいことを話してみる!からスタート、実現する。

やりたいことは何?と質問されると、これまではずっと言葉に詰まっていた。聞かれると困る、何も努力してないから言いたくない、現状とはかけ離れているからわざわざ知られたくない……とか、とにかくいろいろな怠慢な現状を伏せたくて、黙秘してきた。

 

黙秘というのも大げさだけれど。他人の評価を気にする、他人の反応が心配、現状を批判されそう。そう、すべては他人目線を気にしていた。そういう日本人はとても多い。わたしだけじゃない。冷たい仮想目線を怖がって、黙秘に追いやられている。すべて思い込みなのだけれど。

 

まずは話してみる。話してみることで整理されること、よくある。相手に答えを求める必要はない。相手も、うんうんとうなづいて聞いてくれたらいい。話してみる勇気、第一歩ができれば、もうスタートしていて、加速度的に実現が進む。そうだと信じたい。

 

わたしは「伝える」「書く」ことをナリワイのメインにしたい。伝える・書くことが苦手な人、客観的にまとめてほしい人、時間がない人を対象に、内容を聞いて魅力を最大限に引き出し、私が書いて、伝えることをバックアップしたい。

 

自分自身の主張や書きたい論文があるわけではない。ないことが悪いってことはない。書くことが、すべて小説家というわけじゃない。いろんなタイプの書く人がいて、いいと思う。こういうタイプ、いいんじゃないかな。

 

やっとこれだけ言えた。時間がかかった。今日、聞いてくれた人に感謝したい。

やりたいことを話してみる!からスタートすれば、徐々に実現が近づく。